今回は、ライフスタイルや目的に合わせた補聴器の選び方について、わかりやすく解説します。補聴器を選ぶ際のポイントとなる「環境」「機能」「形状」の考え方について、詳しく見ていきましょう。
ライフスタイル・目的別の補聴器の選び方
補聴器は単純に音を集める集音器や、音を増幅させる拡声器とは異なり、装用する方の聞こえ方に合わせて選ぶ必要がある医療器具です。そのため、ライフスタイルや補聴器を使用する目的に合わせて選ぶ必要があります。ライフスタイル・目的別に補聴器を選ぶ際の目安は次の通りです。
基本的に自宅で過ごし、騒がしい場所にはあまり行かない場合
自宅の室内など、比較的静かな環境で過ごす時間が長い方には、シンプルな機能の補聴器が適しています。多くの人が会話を交わしている場所や、周囲の騒音が気になりやすい場所にはあまり行かないようであれば、操作がシンプルで使いやすい補聴器を選ぶほうが得策でしょう。
補聴器の形状についても、自宅での装用がメインであればあまりこだわる必要はありません。装用していて目立つかどうかよりも、音の調整力の高さや幅広い聞こえ方に対応できることを重視して選ぶことをおすすめします。
自宅・外出先で常に補聴器を装用したい場合
自宅だけでなく、外出先でも常に補聴器を装用したい方には、標準的な機能が備わった補聴器が適しています。たとえば、周囲の雑音を抑えて会話を聞きやすくする雑音抑制機能など、幅広いシーンで補聴器をより快適に使用するための機能が備わっているものがおすすめです。
外出先で人に会う際、補聴器があまり目立たないほうがよいという方も多いでしょう。耳の穴にすっぽりと収まる形状など、目立ちにくい形状の補聴器も少なくありません。こうした形状を選ぶことにより、自宅でも外出先でも補聴器を快適に使用できます。
人前に出ることが多い・仕事など重要な会話を交わす機会が多い場合
多くの人の前に出る機会が多い方や、仕事の会議など重要な会話を聞き逃さないようにする必要がある方には、装用していることが目立ちにくい高機能な補聴器が適しています。利用シーンに応じて聞こえ方を細かく調整できる補聴器を選ぶことで、さまざまな環境下で不自由なく利用できる可能性が高まるからです。
たとえば、スマートフォンと連携可能な補聴器であれば、聞きたい方向の切り替えや音質調整、ミュート(消音)などの機能を手元のスマートフォンで操作できます。調整するたびに補聴器を耳から取り外す必要がなく、環境に合わせて聞こえ方を調整しやすいでしょう。
また、補聴器と合わせてロジャー(デジタルワイヤレス補聴援助システム)を活用することにより、複数の人が同時に話す場所、音が反響しやすい場所、広い会場や離れた場所でより聞き取りやすくなります。
補聴器を選ぶポイント1:環境
ここからは、補聴器を選ぶ際に重視しておきたいポイントを紹介します。1つ目のポイントは「環境」です。補聴器を装用する環境について、次の2点を検討しておきましょう。
外出先で人と会って話す頻度
自宅の室内など静かな環境で家族と会話を交わすのが主な装用シーンか、もしくは装用する環境や話す相手がその時々で異なるかによって、選ぶべき補聴器が異なります。外出先で人と会って話す頻度をまとめておくと、補聴器を選ぶ際の参考になるでしょう。
聞こえ方が気になるシーン
普段の生活で周囲の音の聞こえ方が気になるシーンも重要なポイントの1つです。日常会話で聞こえにくさを感じるのか、テレビの音声などが聞きにくいのか、会議など複数の人が交わす会話が聞こえにくいのかによって、補聴器に求められる機能が異なります。具体的にどのようなシーンで聞こえ方が気になるのか、メモなどにまとめておくとよいでしょう。
補聴器を選ぶポイント2:機能
補聴器を選ぶ2つ目のポイントは「機能」です。補聴器の種類によって、さまざまな機能を備えたものがあります。ライフスタイルや補聴器を装用するシーンに合わせて、必要な機能とあまり使わない機能を想定しておくとよいでしょう。
雑音抑制
周囲の雑音を抑え、人の声など必要な音を聞きやすくする機能です。マイクに風が当たることで生じる風雑音を抑制したり、顔を向けている方向から届く音を聞きやすくしたりする機能を備えた補聴器などもあります。補聴器を装用する際のストレスを和らげたい方にとって、重視しておきたい機能の1つです。
自動音量調整
周囲の音や相手の声の大きさに合わせて音量を自動調整する機能です。あらゆる音を増幅させてしまうと、身の回りで大きな音がした時に必要以上の大音量となって鼓膜に届いてしまいます。反対に、小声で会話する場面では微細な声を聞き取らなくてはなりません。こうした音量の幅に対応するには、自動音量調整が必要になるのです。
ハウリング抑制
ハウリングとは、レシーバーから出た音をマイクが拾ってしまうことで起きる「ピーピー」という雑音のことです。ハウリングは補聴器を装用している本人だけでなく、周囲にも聞こえてしまう場合があります。不快な音を抑えたい方にとって、必要な機能といえるでしょう。
その他の機能
ほかにも、スマートフォンアプリとのワイヤレス連携が可能な補聴器や、防水対応の補聴器など、さまざまな機能を備えたものがあります。防水機能は釣りなどで水辺に出かけることが多い方だけでなく、汗をかきやすい体質の方にとっても必要な機能の1つとなるでしょう。このように、自身の習慣や体質と照らし合わせて、必要な機能を見極めていくことが大切です。
補聴器を選ぶポイント3:形状
補聴器を選ぶ3つ目のポイントは「形状」です。補聴器にはさまざまな形状のものがあります。装用時の目立ちにくさだけでなく、操作性や機能性にも影響を与える場合があるため、自分に合った形状の補聴器を選ぶことが重要です。
耳あな型
耳の穴にすっぽりと収まる形状の補聴器です。小型で目立たない補聴器のため、人前に出る機会の多い方に適しています。また、耳から飛び出る部分を最小限に抑えられることから、メガネやマスクを着用しても邪魔になりにくい点もメリットの1つです。
耳かけ型
耳にかけて装用するタイプの補聴器です。耳あな型と比べると外側に出ている部分が多くなるものの、操作がしやすく扱いが容易なタイプの補聴器といえます。また、耳あな型よりも本体を大きく設計できるため、高出力にも対応可能です。ただし、汗の影響を受けやすい点には注意してください。
ポケット型
イヤホンと本体が分かれているタイプの補聴器で、本体を洋服のポケットなどに入れて使用します。本体を見ながら操作できるため、補聴器の装用が初めての方にも操作しやすい点がメリットです。また、高出力にも対応できるほか、耳あな型や耳かけ型と比べると比較的安価に購入できることも長所といえます。高度難聴を含む幅広い聴力に対応可能です。
まとめ
補聴器を選ぶ際には聞こえ方のほか、環境・機能・形状を考慮しておく必要があります。自分のライフスタイルに合った補聴器を選ぶことで、装用のストレスを和らげ、より快適に補聴器を活用しやすくなるでしょう。今回紹介したポイントを参考に、ぜひご自身に合った補聴器を選んでみてください。
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